HERBTEA for MYSELF

美しい日本の四季×体に優しいハーブティーのお話

ボタンの名を持つ甘い香りの中国茶で夏の準備開始!

【七十二侯/穀雨・末侯】
牡丹華(ぼたんはなさく)    4/30~5/4頃

皆さまこんばんは。明日からは七十二侯「牡丹華(ぼたんはなさく)」、牡丹の花が咲き始める頃となりました。牡丹は晩春から初夏にかけて直径10~20cmの花を咲かせます。色も紅・淡紅・白・紫など様々です。

 

 

初めは薬草として中国から伝わった牡丹ですが、平安時代には宮廷や寺院で観賞用として栽培されるようになりました。今では俳句のテーマや絵画や着物のモチーフとしてもよく登場します。
牡丹は甘く上品な香りと格調高い姿から、中国では国の代表花にもなっており「富貴草」「百花王」「花王」「花神」など、褒め称える別名がたくさんあります。どれも高貴な感じですね。更に“この世のものとは思えないほどの美しさと香り“を意味する「天香国色」もまた、牡丹の異名となっています。
ちなみに牡丹の花言葉は、その名にふさわしく『王者の風格」。納得しかありません。

そんな牡丹の名を持つをお茶があるのはご存じでしょうか?またもやハーブティーというよりは中国茶のカテゴリーになってしまうのですが、前回のグリーンティーとも関連があるので是非ともご紹介したいと思います。

 

ボタン(牡丹)

 

まず、ボタンはボタン科ボタン属の落葉小低木。「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」という言葉は美女を形容するのに古くから使われてきました(令和になり美女の基準?が変わってきたとしても、やっぱりこの3つの花の美しさは変わらない気がします)。
また春のボタンが咲くころのお彼岸に供えられることから「牡丹餅(ぼたもち)」と呼ばれるようになった菓子は、秋のお彼岸の時は「御萩(おはぎ)」と呼ばれます。そうです、萩の季節のお彼岸だからです。ちょっとしたトリビアですね。

 

 

さてここからは冒頭でもちょっと触れたグリーンティーと牡丹の名を持つお茶の関連性についてです。
実は緑茶(不発酵茶)・紅茶(発酵茶)・烏龍茶(半発酵茶)などと並び、白茶(弱発酵茶)という種類のお茶があるのです。白茶は製造工程にも特徴があり、摘まれた茶葉を萎凋(いちょう:放置して萎れさせ、発酵を進めるとともに水分を飛ばすこと)した後に乾燥させるだけという、非常にシンプルなものです。萎凋は揉んだり揺らしたり、送風機を使うこともなく人為的な発酵を促すことをしません。そのためゆっくりと進む発酵によって成分が分解され、甘い香と味が生成されます。また同時にポリフェノールをはじめとする刺激性の成分が酸化されることで子供でも飲めるマイルドな口当たりのお茶に仕上がります。そして白い産毛に包まれ白っぽい見た目になることから“白茶”と呼ばれているのです。

 


萎凋を行う環境の湿度と風量、温度を厳密に管理する必要があり、工程がシンプルな分その加工技術には繊細な管理技術が求められます。また茶葉の原料品質も非常に重要になってきます。この茶葉の種類の内の1つが『白牡丹(はくぼたん・パイムーダン)』と呼ばれていて、花のような良い香りがするお茶なのだそうです。残りの2つ『白毫銀針(はくごうぎんしん・パイハオインヂェン)』『寿眉(じゅび・ショウメイ)』と合わせた3種類がメジャーな白茶とされています。
もちろん白茶にも他のハーブティー同様の効能がたくさんありますので、さっそく見ていきましょう。

 

甘く優しい香りでリラックス

白茶に含まれるテアニンには緊張を和らげ興奮を鎮めてくれる働きがあります。夜、お休み前に飲むとリラックスでき自然な眠気を誘ってくれると言われています。なんとなく良い夢が見られそうな気がしますね!

 

さらっと飲みやすく、夏バテ防止にも!

4月に入り突然の夏日にぐったりしてしまうこともありますよね。これからさらに暑くなりエアコンが効いた室内にいるとだんだん血行が悪くなり、更に外の暑さでの脱水症状とのダブルパンチで血液から水分が減ってしまいます。そんな時におすすめなのがさらっと飲みやすい白茶です。ポリフェノールやミネラルが豊富で、日本ではあまりメジャーではありませんが中国以外でも香港などで夏場によく飲まれているのだそうです。

 

アンチエイジングなどの美容効果もあり!

更に白茶にはポリフェノールがたっぷりと含まれており、抗酸化作用によるアンチエイジング効果が期待できます。また白茶にもカフェインが含まれているため、眠気覚ましの効果や腸の蠕動運動を促進して便秘を予防してくれる効果にも期待ができるのだそうです。カテキンにも善玉菌を増やす働きがあるので、便秘の改善だけでなく便秘になりにくい身体づくりにも効果があります。
この他にもカフェインに含まれるリパーゼによる脂肪の燃焼促進効果やカテキンの虫歯・口臭予防効果など、嬉しい効能がたくさんあるんですよ!

 

 

 

白茶もグリーンティー同様、薬を飲むときには飲用しないようにしましょう。というより薬はきちんと水で服用しましょう(2度目)!そもそもおいしいお茶はゆっくり味や香りを楽しみたいですよね……。
さて今回で『春』の18候が終わりです。次回からいよいよ『夏』に入ります。楽しい夏を迎えるために、
ゆっくりと良い夢が見られますように。

次回は2022/5/1(日)22:00頃に更新予定です。