極楽浄土の花・ロータスは尊くおいしく身体にも良い!
【七十二侯/小暑・次侯】
蓮始開(はすはじめてひらく) 7/12~7/16頃
皆さまこんばんは。明日からは七十二侯「蓮始開(はすはじめてひらく)」、蓮の花が咲き始める頃になりました。蓮の花はまだ薄明かりの早朝から花が開き始め、昼過ぎには閉じてしまいます。これを3日間繰り返し、4日目には花びらは再び閉じることなく散っていきます。「ハスは泥より出でて泥に染まらず」という言葉の通り、優美なハスの花は清らかに生きる象徴として、極楽浄土で咲く花といわれています。
“ハス”という名前の由来は花托の形状が「蜂巣(はちす)」に似ていることが転じたという説が有力とされています。また「蓮」という漢字は、ハスの種子が連なるようにしてなることから草冠に連なるで「蓮」となったのだそうです。蓮の実と呼ばれる果実(種子)にもデンプンが豊富に含まれており生食されます。また種子の芯の部分・ハスの葉・ハスの花はそれぞれハーブティーとして飲用することができるのですが、部位によって効能が違うんです。
そしておなじみの“レンコン”、漢字で書くと「蓮根」となり、蓮の根の部分ですね。泥の中からの収穫は生産者の方にとっては大変だと思いますが、あの歯ごたえは何物にも代えがたくおいしいですよね~(生産者の皆さま、ありがとうございます)。花は尊く美しく、葉や種は体に良く、更に根はおいしい。なんと徳の高い植物なのでしょう……!
本日はハーブティーとしての効能を部位別にご紹介いたします。
ハス
インド原産・ハス科ハス属の多年生水生植物・ハスです。原産国のインドではインダス文明の頃からハスは聖なる花とされ、、地母神信仰と結びつき神聖なるものの象徴とされていました。
また仏教でも“極楽に咲く花”と位置付けられるように仏道及び仏の象徴として、多くの仏具に蓮の花があしらわれています。仏教用語の「一蓮托生(いちれんたくしょう)」は死後に極楽浄土に往生し、同じ蓮花の上に生まれ変わって身を託すという思想が語源になっています。
位置付け自体が尊いハスの花ですが、お茶にすると花以外も様々な効能があります。そもそもハスのお茶は
- 蓮花茶(trà hoa sen)……緑茶に蓮花の香りをつけたもの。
- 蓮葉茶(trà lá sen)……蓮の葉を乾燥させたもの。少し苦みあり。
- 蓮芯茶(trà tim sen)……蓮の芯の部分を乾燥させたもの。苦みが強い。
という3種類に分類され、それぞれに効能が違います。では順に見ていきましょう。
美肌茶としても有名な「蓮花茶」
蓮花茶には「ハスの花の香りを緑茶に移したもの」と「ハスの花を粉末にして緑茶と練りこんだもの」の2種類があります。ベトナムのお土産としてメジャーなのもこの蓮花茶で、緑茶ベースなのでスッキリとして飲みやすいのが特徴です。蓮花茶は老廃物を排泄し、美肌を保つ効能から「美肌茶」としても親しまれています。またベースが緑茶であることから、緑茶に含まれるカテキンの強い抗酸化作用や殺菌抗菌効果が期待できます。
不眠改善なら「蓮葉茶」
蓮葉茶とは乾燥させたハスの葉を利用したハーブティーです。蓮花茶とは異なり緑茶が使用されていないため、飲み口はやや苦みがあり漢方らしい風味が後に残るのが特徴です。鎮静作用があるため質の高い入眠効果が得られることから、ベトナムでは「不眠症の特効薬」と呼ばれています。
調整効果が高い「蓮芯茶」
蓮芯茶は乾燥させたハスの実(胚芽部分)を乾燥させて加工したもので、蓮葉茶より更に苦みを感じるため好き嫌いが分かれるところでもあります。こちらもリラックス・安眠効果が高いため、お休み前の1杯向けです。
ロータスティーにはこのほかに体内の不要な水分を排出する利尿作用・新陳代謝の促進・便秘解消・血行促進・血行促進効果にも期待ができます。また、こもった熱を取り除く作用もあるため、この時期夏バテや、夏の寝苦しさにも効果があると言われています。
蓮葉茶・蓮芯茶はハスのみを使うためノンカフェインですが緑茶ベースの蓮花茶にはカフェインが含まれます。そのため妊娠中・授乳中の方は飲用を控えた方が良さそうです。
蓮葉茶・蓮芯茶も鎮静効果はアルカロイド由来のため、適量の飲用にとどめるようにしましょう。
仏様のような広い心を持って、ゆっくりと良い夢が見られますように。
次回は2022/7/16(土)22:00頃にに更新予定です。