マルベリーの合言葉は「食べる前に飲む!」
【七十二侯/小満・初侯】
蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ) 5/21~5/25頃
皆さまこんばんは。明日からは七十二侯「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ) 」、孵化した蚕が盛んに桑の葉を食べ成長する時期です。1ヶ月ほどで蚕は繭を作り、この繭から美しい絹糸が作られます。旧暦の4月はこの蚕のために餌となる桑の葉を採る月ということで“木の葉採り月”とも呼ばれていたそうです。
蚕は一匹、二匹ではなく一頭、二頭と数えられるのですが、これば蚕は人々の暮らしを支える大変のに大変重要な生き物だったので、牛や馬などと同じく家畜として扱われてきたためなのだそうです。養蚕が盛んだった地域では同じ理由から『おかいこさま』などと敬称を付けて呼びます。
蚕の餌となる桑には5~6月に熟すと黒っぽくなる実が付きます。実は小学生の頃、この実がなるとそのまま食べたり集めてジャムにしたりしていました。優しく甘い味だった覚えがあるのですが、現在ではスーパーフードとして注目されているんですよね……小学生の頃の自分に教えてあげたい(けど教えてあげても何のご利益もなさそう、アホの子だったので……)。
本日はおかいこさまだけではなく人間にもありがたい効果があるこちらのハーブティーをご紹介いたします。
マルベリー
クワ科クワ属の落葉高木・クワです。マルベリーは小学生の私が食べていたあの実、ハーブティーとして飲用するのは桑の葉の部分です。ちなみに「クワ」という名前は「蚕が“食う葉”」が縮まったとも「蚕葉(こは)」の読みが転訛したとも言われています。
「土留色(どどめいろ)」という色名は聞いたことがあるとは思うのですが、実際どんな色なのかご存じでしょうか?実は土留色とは“その名前は知られているが正確な定義のない色”なのだそう。一部の方言では桑の実や青ざめた唇の色・打撲による青あざの表現に用いられ、イメージとしては赤紫~青紫、黒紫を指すのだとか。なんかもっと茶色いイメージだったので意外でした……。笑
マルベリーと同様に桑の葉を煎じるハーブティーにも身体に嬉しい効能があります。早速見ていきましょう。
糖の吸収を抑えてくれるありがたいハーブ
マルベリーティーに含まれるデオキシノジリマイシン(DNJ)が糖の吸収を抑え、これが糖尿病予防やダイエットに効果があると言われています。糖が吸収されるためには二糖類分解酵素(α-グリコシダーゼ)と呼ばれる酵素が必要なのですが、DNJがこの働きを抑える→ブドウ糖の吸収が妨げられ、食後の血糖値の上昇も抑えられる、という原理らしいです。
ここでポイントなのが、この効果をしっかり享受するためには「食前30分前にマルベリーティーを飲用する」ということです。まさに“食べる前に飲む!”(どこかで聞いたことがありますね)。
腸内でもしっかり働いてくれる
DNJの作用で吸収されなかった糖分は腸内で最近の餌となります。この時、腸内で蠕動運動が起こります。合わせてマルベリーティーに含まれる食物繊維も消化されずに腸内に到達するので、相乗効果で便秘の解消や腸内環境の改善に効果があると言われています。
血液サラサラ、巡りをよくしてくれる
ルチンやGABA成分には活性酸素を除去し、血液をサラサラにしてくれる働きがあります。血管を強くする働きや血圧の上昇を抑制する効果もあるため、高血圧の抑制に効果が期待できると言われています。更にQ3MG(ケルセチンマロニルグルコシド)というフラボノイドの一種の成分が働き、悪玉コレステロールを抑えることができるので動脈硬化の原因となる血管の酸化や劣化を防ぐ効果があるとも言われています。
美容効果もばっちり!
いわゆる“健康茶”と呼ばれるお茶の中でも群を抜くのがカルシウム・鉄分・亜鉛などのミネラル含有量です。貧血予防のために必要な鉄分もほうれん草よりも多く、酵素の活性化の働きを助けてくれるマグネシウムなどのミネラルも豊富です。血流を良くし、塩分を尿として排出する効果があるカリウムも含まれているので、むくみの解消も期待できます。
また美肌効果に欠かせないβ-カロテン(ビタミンA)、ビタミンB、ビタミンC、そしてビタミンEなどのビタミンも豊富に含まれています。このため抗酸化作用による活性酸素の除去効果で老化やしわ・シミ・がんや糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病を予防してくれる効果が期待できます。
マルベリーティーは禁忌もなく妊娠中の方も召し上がれます。むしろ体重の管理をサポートしてくれたり、つわりで食事が摂れない時の栄養補給だったり、カルシウムや鉄分の補給にもなりますので妊婦さんは上手に取り入れると心強い味方になってくれそうです!
おかいこさまの繭に包まれるような気持ちで、ゆっくりと良い夢が見られますように。
次回は2022/5/25(水)22:00頃に更新予定です。