花から根まで効能あり!ノカンゾウは昼も夜も強い味方
【七十二侯/芒種・次侯】
腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる) 6/10~6/15頃
皆さまこんばんは。明日からは七十二侯「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」、草の中から蛍が舞い、明りを灯しながら飛び交う頃です。“腐草”とは暑さに蒸れて腐った草や竹の根が、蛍になると信じられていたことを表すとされています。
夏の夜を幻想的に飛び交う蛍。そういえば清少納言も枕草子で「夏は夜。月のころはさらなり。やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」と言っていました。昔も今も日本人が夏に風情を感じるものは同じなのですね。一方蛍が見えるほど空気や水がきれいとは言えないやや都会に住んでいると、だんだん上がってくる湿度や夜でも下がりきらない温度に悩まされて「……微妙に暑い……でもクーラーはまだ付けたくない……」と眠れずにゴロゴロする時間が長くなります。なりますよね?そんな時におすすめしたいのがこちらのハーブティーです!
ノカンゾウ
ユリ科ワスレグサ属の多年草・ノカンゾウです。ユリ科らしいフォルムと鮮やかなオレンジ色がきれいな花ですね!属名や和名の「ワスレグサ」は『花のつぼみを調理して食べると心配事をすべて忘れるほど美味しいから』という説や、その花の美しさに憂さを忘れるという説などがあるようです。ニッコウキスゲやヤブカンゾウも同じワスレグサ属なので似ているのが特徴です。ワスレグサ属の花はどれも美しい花を咲かせてくれますが、その花の命は短く、朝方開花すると夕方にはしぼんでしまいます。イギリスではそのため「day lily」と呼ばれています。“美人薄命”な感じですね……。
ノカンゾウは感じでは「野萓草」と書きます。カンゾウの名は韓名の“萓草”を日本語読みしたもので、漢方薬として有名な「カンゾウ(甘草)」はマメ科の草本で全く別種です。しかし、ノカンゾウにも様々な効能があり、しかも蕾・根・葉で効能が違うのです!どれも頼もしいものばかりなので、さっそく見ていきましょう。
根の効能がすごい!
ノカンゾウの根に含まれるアスパラギン酸の働きにより、老廃物や余分なナトリウムを体外にだす・むくみの予防・改善・体の中からアンモニアを出す・新陳代謝の向上などの効果が期待できます。巡りが良くなり利尿作用がアップすることにより美容効果まで期待できるわけです。また同じく根に含まれるリジンの働きにより、疲労回復・タンパク質やカルシウムの吸収を促進する・骨を丈夫にすることによる骨粗鬆症の予防・肝機能の向上・コレステロールの抑制・血圧を正常に下げるなど、健康面のサポートもバッチリなのです!
不眠解消にも効果あり
実は沖縄にはノカンゾウの近縁種・トキワカンゾウという花が存在し、カンゾウ=“クヮンソウ”と呼ばれています。このクヮンソウ、八重山あたりではニーブイグサ(ニーブイ=眠い)と呼ばれ、薬効は入眠促進なのだそうです。これはオキシピナタニンというアミノ酸誘導体の効果であることが分かってきており、睡眠調整成分として注目されています。そのため「クヮンソウ茶」という名で眠りを誘うお茶としても販売されています。オキシピナタニンはユリ科の植物の根や蕾に含まれる成分ですが、特に多いのがトキワカンゾウの花だと言われています。ノカンゾウティーにも同様の効果が期待でき、睡眠薬とは違う穏やかな効き目で睡眠を誘発し、入眠改善効果や中途覚醒抑制効果が期待されています。
またぐっすり眠れることによる疲労回復効果だけでなく、含まれているアルギニンの働きによる疲労感の緩和・筋肉を増強するなどにも期待できます。
蕾には解熱・鎮静効果が
更に蕾には解熱・鎮痛効果があると言われています。こちらはハーブティーとしての飲用だけでなく、茹でておひたしにしたりして食用にされることもあります。
ちなみにノカンゾウは若芽もサッと湯がいて食用にするとおいしいらしいです。気になる~。
ノカンゾウティーはユリ科の植物にアレルギーがある方は飲用を避けましょう。それ以外の方も適量を飲用することをおすすめします。不眠の改善を目的にするならお休み前の飲用がおすすめです。
昼の疲れをしっかりリセットできるよう、ゆっくりと良い夢が見られますように。
次回は2022/6/15(水)22:00頃に更新予定です。